医療産業の展望と課題
安定した利益が見込める医療機器業界
医療機器はリスクの度合いで構造が変わる
国民医療費は40兆円超え
厚生労働省の発表によると2015年度の医療費は概算で41.5兆円(前年度比1.5兆円増)と初めて40兆円を超えた。1人あたりで見ると32万7,000円で、前年度に比べて1万3,000円、3.8%の増加となった。
診療種類別の内訳は、入院費が16.4兆円(医療費全体の39.5%)、入院外費が14.2兆円(同34.3%)、歯科医療費が2.8兆円(同6.8%)、医薬調剤費が7.9兆円(同19.0%)。診療種類別の伸び率(前年度比)は、入院1.9%、入院外3.3%、歯科1.4%、調剤9.4%となっている。
医療機器分野への新規進出を目指す
医療機器メーカーは、最終製品を取り扱う医療機器メーカー、受注生産(OEM)メーカー、部品・部材メーカーの3業種に分類される。
最終製品を扱う医療機器メーカーは、薬事法対応・医療機器製造販売許可・医療機器製造業許可が求められるため、参入へのハードルは高い。その医療機器メーカーに部品・部材を供給するメーカーは、上記の許可類は不要だが、利益率は最終製品メーカーよりも低い。
また、最終製品メーカーは価格以上に、安心・安全を担保するための品質管理・トレーサビリティーが重視される。そのため設計から組立までのリスク管理を行うために、医療機器の品質マネジメントシステムの国際規格ISO13485の認証取得が求められる場合がある。
さらに、製品の特性から多品種少量生産、長期の安定供給が求められる一方で、訴訟リスクや賠償リスクなどの手当ても必要となる。ハイリターンが予想されるもののハイリスクも考慮しておかなければならないことから、医療機器分野が敬遠されてきたきらいもあった。
しかし、他業界と比較して、最終製品だけでなく部品・部材に対する価格の引き下げ要求は少ないとも言われている。さらに政府が新産業・成長産業として医療分野を育成することなども伝えられ、部品・部材メーカーも安定した利益が見込めることを重視して、医療機器分野へ新規進出を図る傾向にある。
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