医療産業の展望と課題
ブランドマネジメントの妙
医療機器の売上比率は25%/医療機器の品質マネジメントシステム規格ISO13485にチャレンジ
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3年で木工加工まで事業領域を拡大
㈱ワークステーションは、レーザ加工に特殊機構のUVインクジェットプリンターによる彩色技術を組み合わせ、檜や杉板を彫刻加工してクラフト製品を製造する子会社「㈱テック・エイト」を設立するなど、金属加工から木材加工まで、幅広いジャンルで活躍している。
人工透析装置など医療機器関連が増収基調で売上比率25%となり、人工透析装置2機種の板金筐体やフレームなどを製作。1機種は完成品まで、もう1機種は筐体部を生産している。
人工透析装置の仕事は2007年の創業当時から受注しており、すでに10年が経過している。医療機器は、厚生労働省から認証を受けると、最低でも10年間はモデルチェンジがなく、販売が継続されるため、商品のライフサイクルが長い。そのため、一般的に医療機器関連の仕事は安定したリピート受注が見込める。
完成品として出荷する人工透析装置は、フレーム・筐体・付属部品を含めると76点の板金部品で構成される。材料は板厚1.2㎜、2.0㎜のSECCで、加工後にカチオン電着塗装とアクリルレザートーン塗装が施される。筐体部を生産する機種の材質はSUS304。月産台数は完成品が30台、筐体が50台となっている。
海老沼惠也社長は、医療機器業界へ向けた同社の取り組みについて、次のように語っている。
「3年前は海外移転の不安がありましたが、医療機器の特性上、お客さまは海外への生産移管は考えておられないようで安堵しています。ただ、リピート受注のため価格競争が厳しくなっています。サプライヤー間での競争見積り、定期的なコストダウン要請があり、原価低減に対応した工法改善が欠かせません。そのため、2015年には『省エネ補助金』の採択を受けて、パンチ・レーザ複合マシンACIES-2512BとベンディングマシンHG-8025を導入。これによって生産性が大きく改善しました。3次元CADもSheetWorks 3台体制にしました」。
ISO13485の認証取得を目指す
「また、一般財団法人地域産学官連携ものづくり研究機構が開催する医療機器のモノづくりセミナーを半年間にわたって受講し、品質管理などを学んできました。その成果として3月には、医療機器関連の製販企業約1,000社が集積する東京都文京区にある商工組合、日本医療機器協会の会館で開催された『群馬県ものづくり企業と医療機器メーカーとのマッチング会 in 東京』に参加、新たに有力な引合いをいただきました。ものづくり研究機構のセミナーを半年間受講して、医療機器に対する品質マネジメントシステム(QMS)の要求事項を包括的に学んできたので、来年中にはISO13485の認証取得を目指したい」。
「ISOの認証を取得することで、安全な医療機器の一貫性のある設計・生産体制を提供できるようになります。認証取得ですぐに仕事が増えるとは考えていません。それよりも、医療機器の安全性と品質への約束を実証することで、医療機器業界以外のお客さまからの引合いが増えることを期待しています」(海老沼社長)。
これまで同社は、アミューズメント業界向けに加飾成形による部材提供を長年手がけてきた。特に固体レーザ(YAG)や炭酸ガスレーザ(CO2)を搭載した自社製3次元レーザ加工機(マーキング・剥離)を使って、アミューズメント機器(主にパチンコ台)関連の加飾成形部品を製作してきた実績があり、こうした技術を応用した新規分野への展開を模索している。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 ワークステーション
- 代表取締役
- 海老沼 惠也
- 住所
- 群馬県太田市西新町14-1
- 電話
- 0276-33-9107
- 設立
- 2007年
- 従業員数
- 20名
- 主要業種
- 医療機器、クリーンルーム用空調機器、チップマウンター、通信機器、遊戯機器の部品製造/精密板金部品の設計・試作・量産/3次元レーザ加工機(剥離・マーキング)の製造・販売・受託加工/レーザ加工による木材の彫刻加工/クラフト製作
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